ポーカーの役の場合の数(ワイルドカード1枚使用)

ワイルドカードを 1 枚使用したときの, ポーカーの役の場合の数を計算してみた.

すべての場合の数は, 53 枚のカードから 5 枚を選び出す場合の数だから, 53C5 = 2869685 通りである. このことと以下の計算結果を用いれば, それぞれの役の確率が計算できる.

「数字の並びをすべて列挙したあと, 各々の数字の並びに対してスートを割り当てる」というのが, 以下で行う場合の数の計算における基本方針.

記号の説明

A,2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K はカードの数字を表す.

S,H,D,C はスートを表し, それぞれ「スペード」「ハート」「ダイヤ」「クラブ」を意味する.

W はワイルドカードを表す.

数字を表す変数として a,b,c,d,e を用いる.

ポーカーの役とその場合の数

ファイブカード

同じ数字のカードが 5 枚.

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[A,A,A,A,W],
[2,2,2,2,W],
……,
[K,K,K,K,W]

の 13 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は,

[S,H,D,C,-]

の 1 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は 13*1=13 通り.

ワイルドカードを使用しなければファイブカードは実現不可能なので, ワイルドカードを含まないときの場合の数は 0 通り.

したがって, 求める場合の数は 13+0=13 通り.

ロイヤルフラッシュ

5 枚のカードが 10,J,Q,K,A の数字で, かつスートがすべて同じ. ロイヤルストレートフラッシュともいう.

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[10,J,Q,K,W],[10,J,Q,A,W],[10,J,K,A,W],[10,Q,K,A,W],
[J,Q,K,A,W]

の 5 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は,

[S,S,S,S,-],
[H,H,H,H,-],
[D,D,D,D,-],
[C,C,C,C,-],

の 4 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は 5*4=20 通り.

ワイルドカードが含まれないときの場合の数は 4 通り (関連記事を参照. 以下同様).

したがって, 求める場合の数は 20+4=24 通り.

ストレートフラッシュ

5 枚のカードの数字が連続していて, かつスートがすべて同じ (ロイヤルフラッシュを除く).

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[A,2,3,4,W],[A,2,3,5,W],[A,2,4,5,W],[A,3,4,5,W],
[2,3,4,5,W],[2,3,4,6,W],[2,3,5,6,W],[2,4,5,6,W],
……,
[9,10,J,Q,W],[9,10,J,K,W],[9,10,Q,K,W],[9,J,Q,K,W]

の 36 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は,

[S,S,S,S,-],
[H,H,H,H,-],
[D,D,D,D,-],
[C,C,C,C,-]

の 4 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は 36*4=144 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 36 通り.

したがって, 求める場合の数は 144+36=180 通り.

フォーカード

同じ数字のカードが 4 枚.

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[A,A,A,a,W] (a≠A) なる型が 12 通り,
[2,2,2,a,W] (a≠2) なる型が 12 通り,
……,
[K,K,K,a,W] (a≠K) なる型が 12 通り.

よって, 13*12=156 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は, 4C3*4=16 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は 156*16=2496 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 624 通り.

したがって, 求める場合の数は 2496+624=3120 通り.

フルハウス

スリーカードとワンペアのセット.

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは

[a,a,b,b,W] (a,b は異なる数字)

なる型であり, その個数は 13 個の数字から 2 個の数字を選び出す場合の数に等しいので, 13C2=78 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は 4C2*4C2=36 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は 78*36=2808 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 3744 通り.

したがって, 求める場合の数は 2808+3744 = 6552 通り.

フラッシュ

スートがすべて同じ (ロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュを除く).

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは

[a,b,c,d,W] (a,b,c,d は異なる数字)

なる型であり, その個数は 13 個の数字から 4 個の数字を選び出す場合の数に等しいので, 13C4=715 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は

[S,S,S,S,-],
[H,H,H,H,-],
[D,D,D,D,-],
[C,C,C,C,-]

の 4 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は, ロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュを除くと, 715*4-20-144=2696 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 5108 通り.

したがって, 求める場合の数は 2696+5108=7804 通り.

ストレート

5 枚のカードの数字が連続している (ロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュを除く).

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[A,2,3,4,W],[A,2,3,5,W],[A,2,4,5,W],[A,3,4,5,W],
[2,3,4,5,W],[2,3,4,6,W],[2,3,5,6,W],[2,4,5,6,W],
……,
[9,10,J,Q,W],[9,10,J,K,W],[9,10,Q,K,W],[9,J,Q,K,W],
[10,J,Q,K,W],[10,J,Q,A,W],[10,J,K,A,W],[10,Q,K,A,W],
[J,Q,K,A,W]

の 41 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は, ワイルドカード以外の 4 枚の異なる数字のカードにスートを割り当てる場合の数であるから, 4*4*4*4=256 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は, ロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュを除くと, 41*256-20-144=10332 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 10200 通り.

したがって, 求める場合の数は 10332+10200=20532 通り.

スリーカード

同じ数字のカードが 3 枚 1 組 (フルハウスを除く).

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは,

[A,A,a,b,W] (a,b は異なる数字,a≠A,b≠A) なる型が 12C2=66 通り,
[2,2,a,b,W] (a,b は異なる数字,a≠2,b≠2) なる型が 12C2=66 通り,
……,
[K,K,a,b,W] (a,b は異なる数字,a≠K,b≠K) なる型が 12C2=66 通り.

よって, 13*66=858 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は, 4C2*4*4=96 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は, 858*96=82368 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 54912 通り.

したがって, 求める場合の数は 82368+54912=137280 通り.

ツーペア

同じ数字のカードが 2 枚ずつ 2 組.

ワイルドカードを含むツーペアは存在しない. なぜなら, ワイルドカードを含むとき, [a,b,c,d,W] なる型であるが, a,b,c,d の数字がすべて異なればロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュ, フラッシュ, ストレート, ワンペアのいずれかであり, a,b,c,d のうち等しい 2 つの数字が 1 組あればスリーペア, 2組あればフルハウスである. 3 つの数字が等しければフォーカード, 4 つの数字が等しければファイブカードである. いずれにせよ, ツーペアにならない.

したがって, 求める場合の数は, ワイルドカードを含まないときの場合の数に一致し, 123552 通りである.

ワンペア

同じ数字のカードが 2 枚 1 組.

ワイルドカードを含むとき, 数字の並びは

[a,b,c,d,W] (a,b,c,d は異なる数字)

なる型であり, その個数は 13 個の数字から 4 個の数字を選び出す場合の数に等しいから, 13C4=715 通り.

各々の数字の並びに対するスートの割り当て方は, ワイルドカード以外の 4 枚の異なる数字のカードにスートを割り当てる場合の数であるから, 4*4*4*4=256 通り.

ゆえに, ワイルドカードを含むときの場合の数は, ロイヤルフラッシュ, ストレートフラッシュ, フラッシュ, ストレートの場合の数を除くと, 715*256-20-144-2696-10332=169848 通り.

ワイルドカードを含まないときの場合の数は 1098240 通り.

したがって, 求める場合の数は 169848+1098240=1268088 通り.

ノーペア

上記の役のどれとも一致しない.

すべての場合の数は, 53 枚のカードから 5 枚を選び出す場合の数だから, 53C5 = 2869685 通り.

したがって, 求める場合の数は, 2869685-13-24-180-3120-6552-7804-20532-137280-123552-1268088=1302540 通り.

あるいは, ワイルドカードを含むときは決してノーペアにならないことから, ノーペアの場合の数は, ワイルドカードを含まないときの場合の数に一致し, 1302540 通りである.

ワイルドカードを含む場合の数

ワイルドカードを含む場合の数は, ワイルドカードでない 52 枚のカードから 4 枚選び出す場合の数に一致するから, 52C4 = 270725 通りである. これは, それぞれの役においてワイルドカードを含む場合の数をすべて合計したものに一致する. 実際, 13+20+144+2496+2808+2696+10332+82368+0+169848+0=270725 である.

ワイルドカードを含まない場合の数は, ワイルドカードでない 52 枚のカードから 5 枚選び出す場合の数に一致するから, 52C5 = 2598960 通りである.

また, ワイルドカードを含む場合の数は, すべての場合の数からワイルドカードを含まない場合の数を引いたものである. 実際に計算してみると, 53C5-52C5=270725 となっている.

確率を求めるには

それぞれの役の確率は, (役の場合の数)/(すべての場合の数) で計算できる.

例えば, フルハウスの確率は 6552/2869685≒0.00228 である.

関連記事

よしいずの雑記帳:ポーカーの役の場合の数

【theme : 数学
【genre : 学問・文化・芸術

検索フォーム
最新記事
リンク
RSSリンクの表示
プロフィール

よしいず

Author:よしいず
MATHEMATICS.PDFというウェブサイトを運営しています。アマゾンにて電子書籍を販売しています。

管理の都合上、トラックバックとコメントはオフにしてあります。ブログ経験者なら分かっていただけると思いますが、スパム(アダルトやその他の宣伝)ばかりなのが現実です。

リンクは自由です。ただし、ブログ記事アップ直後はミスが多く、頻繁に修正します。場合によっては削除する可能性もあります。その際、何も断りもなく修正・削除しますがご了承ください。内容を参考にする場合には投稿後一週間ほど様子を見てからにしてください。

Kindle 本についても、販売開始直後は修正のためのアップロードを行うことが多いです。あと、購入前に、ダブルクォートで囲んたキーワード「"よしいず"」で検索し、結果を「出版年月が新しい順番」で並べ替えて、今購入しようとしている Kindle 本の新バージョンがないかどうか確認してください。

当ブログ記事中のプログラムについて、当ブログの管理者は、プログラムのサポートの義務や、プログラムを実行したことによって発生した損害の責任を一切負いません。簡単で短いものばかりなのでそもそも著作物と呼べるかどうかわかりませんが、それでも丸々コピーしたものに対して自分の権利を主張する行為はご遠慮ください。プログラムを利用する際は、不具合がないか確認しつつ、ご自身のコーディングスタイルで一から書き直してお使いください。そうすれば、プログラムの「表現」が変わり、新しいプログラムの著作権者はあなた自身になると思います。(その結果として、もはや当サイトにプログラムの利用について確認を求める必要は無くなります。)

このブログのタイトル一覧

カテゴリ
月別アーカイブ